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もし芸人に不思議な力があったら5

1 :名無しさん:2006/08/25(金) 14:46:09
現まとめサイト
ttp://geininstone.nobody.jp/


・芸人にもしもこんな力があったら、というのを軸にした小説投稿スレです
・設定だけを書きたい人も、文章だけ書きたい人もщ(゚Д゚щ)カモォン!!
・一応本編は「芸人たちの間にばら撒かれている石を中心にした話(@日常)」ということになってま


・力を使うには石が必要となります(石の種類は何でもOK)
・死ネタは禁止
・やおい禁止、しかるべき板でどうぞ
・sage必須でお願いします
・職人さんはコテハン(トリップ推奨)
・長編になる場合は、このスレのみの固定ハンドル・トリップを使用する事を推奨
 <トリップの付け方→名前欄に#(半角)好きな文字(全角でも半角でもOK)>
・既に使用されている石、登場芸人やその他の設定今までの作品などは全てまとめサイトにあります。
書く前に一度目を通しておいてください。


347 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2007/02/21(水) 23:25:28
>>288-290 の続き

【22:13 渋谷・センター街】

不意に視界が白く染まり、続いて何か巨大な物がぶち当たったかのような衝撃が全身に走って。
平井と松丘はそろって抗う事もできずに、それぞれ路上にはね飛ばされた。
「………。」
身体を起こせば、すぐそばに威圧感のあるビルの姿がそびえているのが分かる。
あと1mほど飛ばされていたら、このビルの壁面に激突していただろうか。

「…危なかった。」
声に出さずに呟いて、松丘は痛みを誤魔化すかのように薄く苦笑いを浮かべた。
――『今』は盾になるモノはないンやから、あちらさんの攻撃を受ける時は慎重にやらなアカンな。
スケッチブックを携えていた『昔』の時の癖か、無意識のうちに腕を前につきだそうとしていた
己のとっさの行動に呆れたようにはぁと息を吐いて。よろりと彼は立ち上がる。
向かいでは平井も起き上がっており、胸元の石を握り締めながら身構えて、
じり、と間合いをつめようとしているようだ。
「………っ!」
しかし、そうはたやすく体勢を整えさせじと『白い悪意』はまた光の帯を左右の両方向に放つ。
タメが少ないながらも煌々ときらめき迫るその悪意に、松丘はまた避ける余裕などないと判断すれば、
今度は忘れずに両腕で胸や顔をガードしつつ光を受け止めようとする。

けれども。
「…ウィー、ガシャン。」
その一方で真っ直ぐに光と『白い悪意』を見据える平井の口から不意に小さな言葉が紡がれたかと思うと、
光の軌跡を見切ったかのように、彼は最小限の動きで『白い悪意』の一撃を避けてみせた。
標的を失った光の帯はビルの壁に弾けとび、振動する空気が風になって平井の髪を揺らす。
「ちっ…片方は仕留め損なったか。」
立て続けに光の衝撃を受けた松丘がゆっくりと崩れるように倒れる様をちらと横目で確認し、『白い悪意』は
平井の方を向いて吐き捨てるように呟く。
「まぁ、といっても少しだけ先伸ばしになっただけか。」

348 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2007/02/21(水) 23:29:41
「…何が先延ばしになったって?」
こちらも口元を歪ませる『白い悪意』ごしに松丘の姿をみやり、軽く息を吐いて。
平井は凛々とした鋭い眼差しと共に問い掛ける。
「わかっている癖に。」
嘲るような一言と同時に『白い悪意』は両手を平井の方に向け、光を放った。
「お前が地面にのたうち回る、だよ!」
「……ウィー、ガシャン。」
咆哮するような『白い悪意』の裂帛。
彼の破壊衝動そのままに襲い来る白い光を前に、平井の唇が再び微かに上下したかと思うと、
彼の足はアスファルトを蹴りあげて、小柄な体躯が路上を跳ねた。

「…ウィー、ウィー、ガシャン。」
普段ならネタ中にて紡がれる、彼らが口にするこの異音には、実は機械が発する音という意味合いがある。
その音を発している内は自分達は機械。機械だから互いに合体し、新しい意味と力を得る。
そう己の右脳に言い聞かせ、一歩間違えば大惨事にもなるだろう自分らのパフォーマンスを成功させるべく
集中力を高める自己暗示を施すための一種の儀式。
平井の中で、目の前の威圧感と悪意、そして光がもたらす痛みに対する恐怖は消え去ってはいない。
けれどもいつもの言葉を繰り返し口にしている内に、いくらかは冷静さが戻ってくる。
「随分単調だな。ビルから落ちる時に力を使い果たしたかい?」
さすがにそんな挑発の言葉を発する余裕はなかったけれど、迫り来るのはそう口にしたくもなるぐらい、真っ直ぐに放たれる光。

再び周囲に白い輝きが弾けて満ちる。
しかしそれが夜の闇の前に薄れ、クリアになった『白い悪意』の視界に平井の姿はなかった。
「………っ?!」
「もぉらったぁっ!」
どこへ消えた? 思わずフードの下で『白い悪意』が目を見張ると同時に、平井の声が高らかに響く。
その声が発されたのは…『白い悪意』の背後。
光が視界を覆っている隙をついて回り込み、振り向く『白い悪意』の懐に今にも潜り込まんとばかりに
接近していた平井が石を握り締めていた手を放せば、気配を殺していた鬱憤を晴らすかのごとく、
首飾りにあしらわれたダルメシアンジャスパーは眩い光を放つ。

349 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2007/02/21(水) 23:32:49
「……………。」
間近で迸る石の気迫に当てられたか、『白い悪意』の動きが止まったほんの数秒。
けれどもその間に平井は石から放した手で『白い悪意』の腕を掴まえ、素早くしかし正確に『白い悪意』の
太股を踏み台にして肩口へとよじ登る。
そのまま流れるように両手両足を『白い悪意』に絡め、『白い悪意』にしがみつく平井自身の体勢を安定させれば、
そこにはいつものイヌがニャーと泣いた日のコントで見るような人体オブジェが完成していた。

しかし、このオブジェはいつもの合体技とは少し…いや、だいぶ違う。
絡みつく平井の腕は『白い悪意』の喉を締め上げ、彼のフードの下から覗く下頬や首の皮膚が徐々に変色していくのだ。
ネタで魅せる合体技を、他人の身体に組み付く技術を磨く最中でどうしても避けられないのが失敗。
これまで一体何度平井は宿野部や山内、そして中岸を絞め落としかけたことだろうか。
あるいは逆に関節を決められ悶絶させられたことだろうか。
「……禁じ手だけど…四の五の言ってられねーし、な!」
つまり。そうどこか自己弁護のように声にならない呟きを漏らしつつ平井が現在行っているのは、
身体と記憶に染み付いている『やってはならない合体技』。
総合格闘技やプロレスでのそれに比べれば、絞め技としては無駄な動作が多いけれども。
それでもこのまま体勢を維持し続ければ、さすがに『白い悪意』といえども失神するに違いない。
後はそこまで数秒か、数十秒か平井が我慢するだけ…だったのだけれども。

『……馬鹿にしては考えたよう、だが。』
呼吸もままならないはずの『白い悪意』の声が平井の耳に届く。
「………っ!?」
『一つだけお前は勘違いをしている。』
気のせいにしてははっきりと聞こえた声に、思わず目を見張る平井に続けて『白い悪意』は口にすると
無造作にそして強引に身体を揺すってみせた。
「………なっ!」
ギリギリの所で辛うじてバランスを保っていたところでの唐突な『白い悪意』の動きに、平井は体勢を崩し、
アスファルトの上に投げ出される。
叩きつけられ、むき出しになった腕を擦る痛みよりも何故…という驚きの方が勝り、平井はくっと『白い悪意』を見上げた。
そして彼は息を呑む。

350 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2007/02/21(水) 23:36:40
『この芸人を失神させれば勝てると思ったのだろうが…私を忘れて貰っては困る。』
そう平井に告げる『白い悪意』の口からは泡状のモノが漏れており、禁じ手は通用していたのだと伺えた。
けれども顔色を変色させながらも『白い悪意』は平然とその場に佇んでおり、右手を自身の胸にやると
白い光がパッと放たれる。
ドクンと空気が震える気配と同時に『白い悪意』はごほ、と泡混じりの空気の固まりを吐き出した。
『この通り、私の力だけでもこいつを動かすことはたやすいのだよ。』
失神すれすれから解放され、ごほごほと無様にむせ返る『白い悪意』に対し、平然と告げられる声の響き。

「……………。」
まるで『白い悪意』が二人存在するかのような妙な違和感に、平井の喉仏が上下に揺れた。
いや、実際に二つ『白い悪意』は存在するのだ。目の前のパーカーの男と、彼の持つ石と。
だとすれば二度目の禁じ手は通じそうもない。ダルメシアンジャスパーの力で衰弱させる戦法も難しいだろう。
それなのに。平井の表情に、凛々と輝く瞳に絶望の色は浮かんでいない。
ゆっくりと、さもそうする事が当然のように立ち上がる平井に、パーカーの男の奥歯がギリと鳴った。

『全てはこいつの願いを叶えるため、私の願いを果たすため…さぁ、今度こそ絶望し消え失せろ、芸に……
己の身体の呼吸が落ち着くのを待つのももどかしいか、そう言い放って『白い悪意』が平井に向けて
両手を突き出そうとした、その時。
「…そこまでや。」
彼の右の足首が何かに掴まれ、そんな声が地面から聞こえてきたかと思うと
パーカーの男の身体の動きは不可視の何かに阻害され、持ち上げようとした腕は中途半端な位置に止まる。
「これでエエんよな、サーペンティン……『無駄な抵抗は止めて、大人しくせぇ!』」
再び足元から声が…先ほど地面に倒れ、ノーマークになっていた松丘の声が上がった瞬間、
足首を掴む彼の手を通じてパーカーの男の全身をサーペンティンの緑色の輝きが駆け抜けた。

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